函館短期大学ニュース
子育て研究所
2012.03.02次代を担う子どもたちの健やかな育ちを地域の大人が、心をひとつにして支えていくために共に学び、語り合う機会を持ちたいとの思いで、企画されました本学「子育て研究所」の専門職研修講座が開講されて今年で3年目となります。今年度は計6回の講座が予定され、すでに5回が終了し、今回が最終回となりました。
今回は幼稚園教育要領や保育指針に示されている5領域の中の「環境」に関わる内容を取り上げ、「食を通して地球環境を考えよう」というテーマで、本学の志賀直信教授による講義でした。
生物海洋学が研究分野であり、プランクトン学がご専門である先生は先ず北大での教員時代の海洋調査で苦労されたエピソード等を交えながら、自然環境の生態系を知ることは人間社会の基本を知ることであり、さらに温暖化等の地球環境の変化は、人口問題、エネルギー問題そして食糧問題にまで連鎖していることを説かれました。
その中で、食料危機は深刻であり、先進諸国や日本では人工が減少しているが、新興国の人口は今後数十年に渡って爆発的に増えていくこと。そして、温暖化も加わって農業用地が減少し、地球環境が現状に追いつかなくなる等の危機がすぐそこに迫っていること。それは取りも直さず、食糧自給率の低い日本でも大問題となり、当然ながら、子どもたちの食に多大な影響が及ぶことであり、食料問題を重大な環境問題として捉えなければならないと強調されました。このことから派生する食の変化は子どものアレルギー問題をすでに引き起こしており、特に乳幼児教育に従事する方々は、長期的な視点を持ち、すべては子どものためにあるのだという思いを強く持たなければならないと力説。
質疑応答に入り、参加された専門職の方からは、保育に関わる者として毎日食べる給食の内容から輩出されるゴミの問題まで身近なところから考える視点や意識を今すぐにでもに変えて行かなければならない時期であることを実感を持って話されていました。
明日からお仕事をされていくうえで、今回得られた知見を心にとめられ、ぜひとも活かしていってほしいと思いました。
さて、来年度も本学では、一般市民のための子育て講習会と幼児教育や保育の仕事に従事する専門職のための研修講座を開催する予定です。次代を担う子どもたちの健やかな育ちのために、共に学び、語り合う機会にしたいと願っております。ぜひ、ご参加ください。